あなたの父と母を敬え。そうすればあなたは、あなたの神、主が与えられる土地に長く生きることができる。           (出エジプト記20章12節)

 十戒の第5戒です。当たり前のことでありながら、両親を敬うことが命じられています。親の恩に報いる、それが長寿の秘訣なのです。父と母を敬え、そうすればあなたは、長く生きることができる、と約束されています。聖書は、そう教えているのです。

「父と母を敬いなさい。」これは約束を伴う最初の掟です。「そうすれば、あなたは幸福になり、地上で長く生きることができる」という約束です。        (エフェソ6章2,3節)

これは新約聖書の言葉です。親を大切にすると幸福になり、その上、長生きできるのです。人間として一番大切なのは、「父母を敬うこと」だからです。親は自分の命の根源だからです。そうだと分かっていても親を敬うことは難しい。自分のことを顧みると、自分がいかに親不孝であったか、と心が責められます。特に子供たちから、父の日だからとプレゼントをもらったりすると、自責の念に駆られます。自分が親にしてこなかったからです。親孝行とは、親への感謝と尊敬の気持ちを行動で示すことです。それを十戒は命じています。昔は短命だったので、「親孝行したいと思った時には、親はいない」と言われていました。しかし今は、そうではありません。親の介護や世話は子どもの義務ですが、老々介護の現実があります。

マルコ7章10~13節が示しているのは、親に対する子どもの義務から何とかして逃れようとした現実が、昔もあったことです。「もし、だれかが父または母に対して、『あなたに差し上げるべきものは、何でもコルバン、つまり神への供え物です』と言えば、その人はもはや父または母に対して何もしないで済むのだ」と(11節)。コルバンとはヘブライ語で、その意味は「ささげ物」。律法の裏をかくようなことが巧妙に、そして、実際に行われていたのです。驚くべきことですが、律法学者らは、そのような事を行っていたのです。いかに親への感謝と尊敬の思いを、実行することが難しいことだったかが分かります。

長寿の秘訣は、親を敬うことです。とても尊敬できる親ではないと思えたとしてもです。それは、親の愛と苦労が見えてないだけだと、気づきたいものです。