光は暗闇の中で輝いている。(ヨハネ1章5節)

毎年12月になると、町中がクリスマスで彩られます。40年前も同じようでした。町の中心にある商店街は、光とネオンで溢れていました。賑やかなクリスマスの曲が流れていました。私にとって、その年のクリスマスは忘れられません。翌年の早春、父が癌で他界したからです。

古い木造の日赤病院に父は入院していました。殆ど起き上がれなくなっていました。家族が交替で病院に付き添いました。自宅から病院までは自転車で通ったのですが、アーケードのある商店街を通り抜けて行くのが常でした。クリスマスの夜、光で溢れた賑やかな商店街を通り抜け、病院に着きました。病院に入ると、シーンと静まりかえっていました。まだ消灯の時間ではなかったのですが、薄暗い院内と音のしない病室。歩くと、木造の床がぎしぎしと鳴りました。父の病室に入ると、突然、どこかの病室から大きな泣き声が上がりました。病人が亡くなり、そこに居た家族の泣き声でした。死の闇がそこにありました。さっき通り抜けた商店街の賑わいや、ざわめきとの違いに胸が塞がれる思いでした。

光と闇、生と死、健康と病…誰もが明るく健康的に生きたいと願いつつも、そうならない現実があります。いつまでも若く、美しくいられない現実もあります。それでも見落としてはならないことがあります。それが冒頭の聖句です。光は暗闇の中で輝いていることです。イエス・キリストは光として、この世に来られました。いつの世にも暗闇が支配していますが、光が1つ輝くだけで暗闇は追い払われます。闇は光に打ち勝てないからです。

クリスマスになると、40年前の光景が思い出されます。そして、私の心の暗闇を照らす光が必要だと実感します。クリスマスに光として来られたイエス様が必要です。その光を心の中に受け入れると、罪と悪である暗闇は消え去ります。 (2020年12月17日)