これまで族長ヨセフについて、創世記37~50章を読んできました。その最後に、マタイ1章に登場する同名のヨセフとの関連を見ます。旧約最初の書のヨセフと新約最初の書のヨセフは、夢を通して神の導きを受けました。この二人は、どちらも神の救いの計画を担います。夢は、救いの計画を実現する手段でした。
⑴創世記のヨセフはイスラエル一族を飢饉から救います。他方、マタイのヨセフは、幼子イエスと母マリアを命の危機から守ります。夢で、マリアを妻に迎えなさい、エジプトへ逃げなさいと命じられ、従います。
⑵更に両者とも、エジプトと深く関わります。17歳の時に見た夢のせいで、創世記のヨセフはエジプトに売られます。その結果、ヤコブ一族全部がエジプトへ移住します。他方、マタイのヨセフは夢によってヘロデ王の刺客からエジプトへ逃れ、母子の命を守ります。
⑶どちらも正しい人で、神に従う義人でした。
創世記のヨセフは家族を飢饉から救い、イスラエル民族が存続する道を開くため、神に用いられました。マタイのヨセフは救い主イエスを守り育て、神が救い主として御子を世に遣わすため、神に用いられます。さらに興味深いのは、「ヨセフ」と言う名前には、主が加えてくださる、増し加えてくださる、との意味があることです(創世記30:24)。旧新のヨセフを通して、神が救いを増し加えてくださったからです。そうしたことを考えると、二人のヨセフは救済史全体から深いつながりがあると読めます。マタイは旧約聖書の引用や暗示を多く用いる書ですから、読者が創世記のヨセフを思い起こすように福音書を構成したとも考えられます。すべては神の導きに依るのですが、旧約と新約は聖書として一つにつながっているのです。
二人に共通する見た夢についてですが、使徒2章17節に「終りの時に、神の霊がすべての人に注がれると、息子と娘は預言し、若者は幻を見、老人は夢を見る」とあります。老人が見る夢とは何でしょうか。聖霊降臨によって、すべての人に聖霊が注がれます。その結果、教会が福音を全世界に宣べ伝える時代が始まることを告げています。神から与えられる夢は神の救いの計画を前進させ、増し加えるために与えられます。老人はそうした福音宣教の夢を見ます。その夢の中心は二人のヨセフが指し示したイエス・キリストです。これまでの『ヨセフの夢』を振り返りつつ記しました。
