兄たち11人の背後から追って来たヨセフの執事は、追いつくと「どうしてお前たちは悪を持って善に報いるのか。あの銀の杯は私の主人の杯だ」と責めます。しかし身に覚えのない兄弟たちは、「それならば全員の穀物袋を調べてください。僕どもの中の誰からでも杯が見つかれば、その者は死罪に、ほかの私共も皆、御主人様の奴隷になります」と言い切った。誰もそのような盗みをするはずがない、何かの間違いだ、と信じていたからです。
「執事が年上の者から念入りに調べ始め、…ベニヤミンの袋の中から杯が見つかった。彼らは衣を引き裂き、めいめい自分のろばに荷を積むと、町へ引き返した。」(創世記44章12,13節) 

ベニヤミンの袋の中から出て来るとは、まさかの出来事。そして、エジプトの高官(ヨセフの事)の前で地にひれ伏します。ヨセフは厳しい口調で、「お前たちのしたこの仕業は何事か」と言うと、ユダが代表して答えます。「御主君に何と申し開きできましょう。今更どう言えば、わたしどもの身の証しを立てることが出来ましょう。神が僕どもの罪を暴かれたのです。この上は、わたしどもも、杯が見つかった者と共に、御主君の奴隷になります」。しかし、ヨセフは言います。

「そんなことは全く考えていない。ただ、杯を見つけられた者だけが、わたしの奴隷になればよい。他の者たちは皆、安心して父親の許へ帰るがよい」(44:17).

ここを読んで、ヨセフは兄たちを試して、その本心を知ろうとしているのに気づきます。そんな事とは知らないユダの必死に訴えます。「末の弟の兄(目の前にいるヨセフのこと)は亡くなり、同じ母の子で残っているのは、ベニヤミンだけだから、父はあの子がいないと知れば、死んでしまいます。そうなると僕どもは白髪の父を、悲嘆のうちに陰府に下らせることになるのです。それは出来ません。実は、この僕が父に末の弟の安全を保障して、『もしも、この子を連れ帰らないようなことがあれば、私が父に対して生涯その罪を負い続けます』と言ったのです。何とぞ、この子の代わりに、この僕を御主君の奴隷としてここに残し、この子はほかの兄弟たちと一緒に帰らせてください。この子を連れずに、どうしてわたしは父の許へ帰ることができましょう」と(44章18~34節)。そして、兄弟は皆ヨセフの前にひれ伏しました。その光景は23年前に、17歳のヨセフが語った夢の通りでした。兄ユダの言葉を聞いて、以前とは変わったことを知ったのです。