彼女は毎日ヨセフに言い寄ったが、ヨセフは耳も貸さず、彼女の傍らに寝ることも、共にいることもしなかった。         (創世記39章10節)

執拗に求められると、少しだけ(一度だけ)ならと妥協したくなります。しかし、してはならないことは決してしない。誘惑された時は、きっぱりと断わりたいものです。それがなかなか出来ないのが現状かも。その点、ヨセフは賢明でした。しかし、主人の妻は,素っ気なくされるほど、情が燃え上がりました。

こうして、ある日、ヨセフが仕事をしようと家に入ると、家の者が一人も家の中にいなかったので、彼女はヨセフの着物をつかんで言った。「わたしの床に入りなさい。」       (39章11,12節)

ある日は偶然ではありません。女主人は、屋敷の中にヨセフ以外には居なくなる日を狙っていたのです。そして、ヨセフの着物をつかんで放しません。強引に誘惑しました。ヨセフはどうしたでしょうか。

ヨセフは着物を彼女の手に残し、逃げて外へ出た。着物を彼女の手に残したまま、ヨセフが外へ逃げたのを見ると、彼女は家の者たちを呼び寄せて言った。「見てごらん。ヘブライ人などをわたしたちの所に連れて来たから、わたしたちはいたずらをされる。彼がわたしの所に来て、わたしと寝ようとしたから、大声で叫びました。わたしが大声をあげて叫んだのを聞いて、わたしの傍らに着物を残したまま外へ逃げて行きました。」         (39章12~15節)

ヨセフには逃げる以外になかった。一方、誘惑した主人の妻はプライドが深く傷ついた。本当の事をヨセフがしゃべるかもしれないと思うと、屈辱の怒りに燃えながらも、彼女は巧みな嘘で先手を打ちました。ヘブライ人という言い方には、軽蔑が込められています。思えば、ヨセフは彩り豊かな晴れ着がもとで、兄たちに嫉まれた。そして、ここでは彼の着物が証拠品として相手の手に残っています。聖書は、心理描写を一切していません。そこに、小説との大きな違いがあります。ですから書かれていない行間を読む必要があります。逃げたヨセフはどのような思いでいるのか。そして、主人の妻の心はどのように波打っているか。

彼女は、主人が家に帰ってくるまで、その着物を傍らに置いていた。(16節)そして・・・。