そこでイエスは言われた。「剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる」(マタイ2652節)

 剣や棒を持った者たちが、イエスを逮捕すべくゲッセマネの園に押し寄せました。主を守ろうとして、ペトロは剣を抜いて大祭司の手下に打ちかかり、片方の耳を切り落としました。そこで言われたのが、上記の聖句です。剣が示す武力で攻撃する者は皆、武力で滅ぼされるからです。これは、いつの時代にも当てはまる原理として、剣で先制攻撃することを戒めた言葉です。その例として、日本と米国の戦争は、日本が先に軍事力で真珠湾攻撃をして始まりました。勝利したかに見えましたが、剣で滅びました。そして、多くの人の命が失われました。主イエスはご自分が捕えられ、十字架で殺されると分かっていても、自分を守るために剣を手にした弟子を戒め、「剣をさやに納めよ」と命じました。軍事力を用いて攻撃することに対して、主イエスは同じように言われるに違いありません。

今、イスラエルの軍事力が問題になっていますが、そもそもこの国はどういうものでしょうか。私たちは日本人ですが、日本と言う国に住み、日本語を話し、日本人と呼ばれます。殆どの国がそれと同じで、国名と話される言語、人種は同一の場合が多い。ところが国名はイスラエル、言語はヘブライ語、人種はユダヤ人と言うように、3つとも異なっていたのがイスラエルです。その先祖はアブラハムで、彼はヘブライ人と呼ばれました。川向うから来た人、の意味です。そのアブラハムの孫ヤコブが神と戦って勝ったことから、イスラエルの名前が与えられます。彼の子孫はエジプトの地で増え拡がり、モーセの時代イスラエル民族に成長します。その子孫の頂点はダビデ、ソロモン時代です。しかし、国は南北に分裂し、北王国はアッシリアに、南ユダ王国はバビロンに滅ぼされます。人々は捕囚民とされ、この頃からユダヤ人と呼ばれます。

さて、ユダヤ人は何世紀にも渡って各地に離散して住み、自分たち独自の国家はありませんでした。幾度となくホロコースト(ユダヤ人絶滅政策)に遭いながらも、ユダヤ人は民族として消滅することなく、存在し続けました。奇跡と言えます。そして、1948年にシオニズム(パレスチナの地にユダヤ人国家を建設しようとするユダヤ人の民族運動)の働きで、ついにユダヤ人国家を設立します。それはBC586年のバビロン捕囚以来、AD70年のローマ軍によるエルサレム陥落以来、2千年以上が経過しています。このイスラエルと聖書との関りを見て行きます。