2021年9月19日
主日礼拝

《建徳要旨》創世記471326節「命の恩人と感謝されたヨセフ」

ヨセフには総理大臣として、その真価が問われる*喫緊の問題に直面します。飢饉が極めて激しく加速していったからです。食料を求めて殺到する人々に、ヨセフはどう対応したのでしょうか。ヨセフの行った政策が、創世記47章13~26節に記されています。エジプだけでなく近隣のカナン地方でも、人々は飢饉のために苦しみ喘いでいました。本当に危機的な状況でした。ヨセフは穀物をただ(無料)では与えませんでした。41章56節には、エジプト国民にも売ったとあります。ただで与えると、買い占めや無駄使いが起きるからです。それは賢明なやり方です。銀が代金でした。国民はもちろん外国人にも銀で売りました。銀が無くなると、所有する家畜を代価にしました。家畜が尽きると、農地である土地を代価にしました。すべてを国有化し、それを国民に貸し与え、収穫の五分に一(20%)を納めさせました。種も与えています。国民がそれを求め、自ら奴隷になります(19節)と申し出ているのです。

もしヨセフが家畜を引き換えにしなかったら、家畜は食料として食べられたでしょう。そうすると、飢饉が終わり、農作業が始まれば、たちまち家畜の労働力が必要になり、困ったでしょう。家畜を確保するためでした。多くの人は長期的な展望よりも、目先のことに終始しがちで、それは今も昔も変わりません。いつの時代にも、危機管理能力が国のトップには求められます。ヨセフにはその能力が、神から与えられていました。ヨセフは収穫の五分の一を税金として納めさせました。国民は重税とは思わなかった。むしろ喜んで納めた。国民のヨセフへの信頼と支持の大きさが分かります。いかに良き政治を行ったか。25、26節。江戸時代、農民は8公2民の80%を年貢を取り立てられました。それは重税そのものでした。

ヨセフは主イエスと重なります。私たちは主の祈りで、「御国を来たらせてください、御心が行われますように」と祈ります。イエスが王として統治されるのが御国です。そこに住む人は何と幸いでしょう。その住民は主の僕(奴隷)になりたいと願いました。絶対的な信頼です。国民は皆ヨセフに、命を救い、助けていただいたと感謝しています。ヨセフは命の恩人と言われました。それは、罪から救われた私たちが、主イエスに抱くのと同じ思いです。主イエスは命の恩人だからです。

主の奴隷になることが一番の幸せであり、幸いですが、こんなことを言うと、エッと思われるでしょう。しかし、よく考えると分るのですが、自分の意志や思いではなく主のご意志、みこころが最優先されることこそ最善だからです。私たちは自分が罪の奴隷で、自我をコントロールできない者だからです。ヨセフが民を奴隷にした意味、また、国民が奴隷になることを求めた意味をそのように理解しました。

注*喫緊とは:間近に迫ってきている大事なことで、この語が使われる場合は、事態が緊急を要していてすぐに対処や対策などの行動を起こさなければいけないような状況を意味します。

 

 


  先週ライブ配信された建徳の録音です。

(建徳 2021-09-19 K・H兄)