どんなことにも感謝しなさい。 (Ⅰテサロニケ5章18節)
今日は2021年の大みそか。とても寒い。そんな今日、神田川の陸橋の下、ホームレスらしき男性がダンボールの上に座って、たばこを吸っていた。この寒空こんな所でと思いつつ傍を通り過ぎる。どんな事情があるのか、もしかしたら借金を返せず家に帰れないのかも知れないなどと思いつつ。
樋口一葉は『大つごもり』で、大みそかに起きた小さな出来事を描いた。お峰という女中が病身の伯父のために、女主人の小物用引き出しに入れてあった20円の内より2円だけをこっそり盗む話。そのことが判明する大みそか。女主人が引き出しを見ると、そっくりお金が無くなっている。そして、「引き出しの分も拝借し候 石之助」と書かれた紙が入れられていた。石之助とは、その家の極道息子。その日、そこに居てお峰のしたことを見ていたらしい。そして、彼女が罪を問われぬよう、自分の仕業にしたと言える。そのことでお峰は救われるという筋書き。
コロナ禍で、大変厳しい大みそかを迎えている人がいます。それを思うと、温かな部屋で、無事に年が越せるのは決して当たり前ではないと思うのです。冒頭の聖句、「どんなことにも感謝しなさい」から、嫌な事、辛い事があっても、そのすべてに感謝しなさい、と教えられます。
一年を終えるに当たって、お世話になったあの人この人に、家族に、そして主に在る兄弟姉妹に、その名前を挙げて感謝の「ありがとう」を花束にして贈ります。先に召された人たち、父や母にも「ありがとう」を贈りたい。今、自分がこうして平穏に暮らせているのは、多くの人たちのお蔭があるからです。そうしたすべては、主イエス・キリストのお蔭です。だから、一番の「ありがとう」を、主イエス様に献げます。そして、祈ります。「天におられる私たちの父よ、御名が崇められますように。御国が来ますように」と。一日も早く神の国がこの地上に実現しますように、と。(2021年12月31日)