人の言うことをいちいち気にするな。そうすれば、僕(しもべ)があなたを呪っても 聞き流していられる。(コヘレト7章21節)

人が自分のことを何と言っているかは。誰でも気になるものです。特に、批判や陰口は気になります。しかし、それを気にせず、出来れば笑って聞き流すことを、コヘレトは勧めています。それが冒頭の聖句です。その理由が前後の聖句に書かれています。その聖句は、下の3段落目にあります。

「ろばを売りに行く親子」(ポッジョ作)というお話があります。父親と息子がろばを売りに出かけました。それを見た人が、「ろばに乗らないで歩くなんてもったいない」と言いました。なるほどと思い、先ず息子をろばに載せ、自分は歩きます。すると、「元気な子どもが乗って親を歩かせるのか」と批判します。そこで、息子と父親が入れ替って進むと、別の人が、「自分だけ乗って、子どもを歩かせるなんて悪い親だ。いっしょに乗れば良いのに」と言いました。それはそうだと、2人でろばに乗っていると、「2人も乗るなんて、ろばがかわいそうだ」と言うのです。それじゃあと、ろばの足を縛って棒で吊り上げて運びました。しかし、不自然な格好を嫌がったろばが暴れ出し、それが橋の上だったので、ろばは川に落ちて死んでしまいました。
これは小学生の教科書にある話です。教訓は、人の意見に振り回されないで、自分の考えをしっかり持っていなさい、です。親子はどうすれば良かったのでしょうか?

冒頭の聖句をご覧ください。そのすぐ前の20節には、善のみ行って罪を犯さないような人間は この地上にはいない、とあります。完全に正しい意見の人はいないのです。だから、人の言うことをいちいち気にするな・・・と続くのです。更に、すぐ後の22節には、あなた自身も何度となく他人を呪ったことを あなたの心はよく知っているはずだ、とあります。何をしても批判する人はいるもので、自分も人のことを悪く言ったことがあるではないか、だから聞き流しなさいと勧めているのです。

ライブ配信をしていて、右が良い、いや左の方が良い等、色々な意見があることを知りました。その時、ろばの話を思い出したのです。人の意見など聞くな、というのではありません。むしろ、よく聞く必要があります。しかし、決して支配されないことです。そのためには自分の確信を持ち、それを説明できることです。(2021年9月6日)