(駝鳥は)その雛(ひな)を自分のものではないかのようにあしらい
自分の産んだものが無に帰しても平然としている。
神が知恵を貸し与えず、分別を分け与えなかったからだ。(ヨブ記39章16、17節)

ダチョウ博士と言われる塚本康浩さんの新刊が『ダチョウはアホだが役に立つ』です。ダチョウはアホな鳥と言われています。体は100キロ以上と巨大なのに、脳みそは40gしかありません。しかも、脳にはしわが殆どないと言います。だからでしょぅ、どんなに世話をしてもらっても、その人の顔を覚えないそうです。そんな駝鳥ですが、新型コロナに有効な「ダチョウ抗体」が発見され、注目されています。アホだが役に立つわけです。

旧約聖書ヨブ記に、ダチョウのことが書かれています。冒頭の聖句は、その一部です。ダチョウがアホなのは、神が知恵と分別を与えなかったからだ、と記されています。ここでは漢字で「駝鳥」と表記されています。ヨブ記39章14節から18節までを引用します。

駝鳥は卵を地面に置き去りにし、砂の上で暖まるのまかせ、獣の足がこれを踏みつけ、野の獣が踏みにじることも忘れている。その雛を自分のものではないかのようにあしらい自分の産んだものが無に帰しても平然としている。神が知恵を貸し与えず、分別を分け与えなかったからだ。だが、誇って駆けるときには、馬と乗り手を笑うほどだ。

駝鳥は自分が生んだ卵のことを忘れ、地面に放置してどこかへ行ってしまう。普通では考えられないことで、卵が無になっても平然としているのが駝鳥です。もし本当にそうなら子孫は生き残れず、絶滅してしまいかねません。でも実際、駝鳥は今も生きています。どういうことでしょうか。

ダチョウの生態を知ると、神の配慮に気づかされます。ヨブ記はダチョウを通して、私たち人間のことを表現しているのに気づきます。頭の悪いダチョウ、神が知恵や分別を多く与えなかったダチョウ。もし神の配慮がなかったら、とっくに絶滅していたでしょう。

ヨブは自分のことを「(私は)駝鳥の仲間となったかのようだ」と言っています(ヨブ30章29節)。何も分っていないのに、知っているかのように語ってきたからです。駝鳥や他の人をアホ呼ばわりし、自分は分かっていると思っていたからです。しかし、賢者は自分が無知であることを知っています。ダチョウの話をしましたが、優れたところもあります。走ると馬よりも速いことです。ダチョウは時速60キロで走るからです。どんな人にも取り柄はあるのです。100m走の世界最速者ボルト選手よりも速いのです。(2021年3月26日)