怠け者よ、蟻(アリ)のところに行って見よ。その道を見て、知恵を得よ。
夏の間にパンを備え、刈り入れ時に食料を集める。(箴言6章6,8節)
毎日、暑いですね。今年の夏は例年になく暑く、危険な暑さと呼ばれる程です。
イソップ寓話に「アリとキリギリス」があります。暑い夏の昼間、汗を流しながら蟻(アリ)たちが食べ物を運んでいます。やがて来る冬に備えるためです。一方、キリギリスは歌を歌ってばかりで、暑さも手伝って働く気になりません。
時が過ぎ、寒い冬になりました。遊んでばかりいたキリギリスは、食べる物がなく困っています。何の備えも無かったからです。お腹を空かせたキリギリスは、アリの事を思い出します。食べ物の無くなる冬に備えて、蓄えていたアリさんの所なら食べ物があるに違いない。アリの家を訪ねます。そして、何か食べ物を分けてください、と頼むのです。さて、アリたちはどうするでしょうか。
2つの結末があります。
- アリはキリギリスの頼みを拒み、「夏の間、歌っていたんだから、冬の間。踊っていたらどうだい」と言い、ドアをバタンと閉めます。キリギリスは倒れて、凍え死んでしまいます。
- そうではなく、快く家の中に迎え入れ、食事を一緒にします。するとキリギリスは涙を流し、心を改めます。夏の間もアリのように働くようになったのです。これは、1の結末が残酷すぎるので、改変されたものです。
ここで、冒頭の聖句を見てください。理想的には、アリのように暑い時期にも、冬の備えをする生き方と、キリギリスのように楽しく歌って「今」を生きる生き方の両面がほしいです。実は、この話にはもう1つの結末があります。
それは、食べ物のない冬にキリギリスがアリの家を訪ね、断られます。その時です。キリギリスはアリに、「私は楽しく歌って過ごせた。今死んでも悔いはない。死んだら、私の体を食べ物にしてほしい」と、言い残すのです。
アリのように将来に備えて働くと同時に、キリギリスのように今を楽しく歌って過ごしたいものです。そのために死を迎えようとも、悔いのない生き方でありたい。そんなことを、この暑さ中で思っています。(2020年8月17日)