主はこう言われる。
イスラエルの3つの罪、4つの罪のゆえに
わたしは決して赦さない。(アモス2章6節)
預言者は語りかける対象の国に対してだけでなく、イスラエルに隣接する国々についても預言しています。今と同じく昔も、自国と他国との関係は緊密でした。アモスは北イスラエルに向かって、その罪を糾弾した預言者でした。それをいきなり語るのではなく、諸国民への審判から語り始めています。「主はこう言われる。ダマスコの3つの罪、4つの罪のゆえにわたしは決して赦さない」と。その罪を具体的に語っています。続いて、ガザ、ティルス、エドム、アンモン、モアブ、そして、南ユダの罪が具体的に語られます。そうだ、そうだと聴衆は喝采したかも知れません。人の罪過が裁かれる時、自分を棚に上げているのです。しかしアモスは、目の前のイスラエルに向けても同じように糾弾します。
冒頭の聖句が、その書き出しで、アモス2章6~16節に列記された罪は、これまでのどの国よりも多く、深刻です。他国の審判を他人事だと思って聞いている聴衆を、最後に糾弾するやり方は見事です。サムエル下12章の、ナタンがダビデ王を諫めるのも同じです。王に向かって、いきなりその罪を糾弾していないのです。ひどい男を例に挙げ、ダビデが怒って「そんな男は死罪だ!」と言うまで待っているのです。人のことはよく分かるのに、自分のことは見えていないのが、私たち罪人の姿で、皆同じです。
ロシアとウクライナの戦争から、世界の国々は緊張関係に置かれています。自国のことだけを考えていられない情勢です。それは昔も今も同じです。そこから預言書に於ける諸外国との関係を読み解く必要があります。今回はアモス書ですが、イザヤ書では13~19章に、エレミヤ書では46~51章に、エゼキエル書では25~32章に、諸外国への審判預言が集約されています。アモスは本当に近隣の小さな都市国家が取り上げられていますが、イザヤ~エゼキエルはもっと大きな国々が取り上げられています。そして、その背後に悪魔サタンが読み取れるように預言されています。それは、エゼキエル38、39章で、悪の王国マゴグのゴグに対する審判に至り、黙示録20章へと繫がります。エレミヤ50、51章に預言されたバビロンの徹底的な滅びは、黙示録18章の大いなるバビロンの滅亡へと至るのです。