旧約聖書の預言書イザヤ書~マラキ書を、これから取り上げていきます。まずイザヤ書からですが、彼の活躍した時代について読みます。

 アモツの子イザヤが、ユダとエルサレムについて見た幻。 これはユダの王、ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの治世 のことである。                      (イザヤ1章1節)

預言書が難しく思える理由の1つは、書かれた時代背景が理解しにくいからです。上記の聖句だけを読んで、旧約歴史の、どの時代かが分かるには列王記・歴代誌を読むことが必要です。ソロモンの子レハブアムの時代にイスラエルは北と南に分裂します。北をイスラエルと呼び、南をユダと呼んで区別しています。紀元前700年頃です。

イザヤは南王国に遣わされた預言者でした。特に、アハブを諫(いさ)めるために預言しました。逆に、ヒゼキヤ(善王)に対しては、信仰的に指導し力づけるために語っています。当時の世界を支配していた覇者はアッシリア帝国でした。残虐な強国です。そのアッシリアにどう対峙すべきかを、イザヤは説きました。目先の軍事力に頼ることに対して、イザヤは一貫して反対しました。

そのイザヤから100年後に、預言者として召されたのがエレミヤでした。当時の世界の覇者はアッシリアを滅ぼしたバビロン帝国でした。彼は南ユダ最後の王ゼデキヤと対峙しますが、王はエレミヤが勧めるバビロンへの降伏を拒否します。そのためエレミヤの予言通り、国は滅びます。エレミヤの忠言を聞かなかったため、ユダ王国は滅ぼされ、神殿も完全に破壊され、民の多くがバビロンへと捕囚にされて行きました。それを見てエレミヤは泣きました。バビロンへの捕囚は3回行われていますが、エレミヤが遭遇したのは決定的な3回目の捕囚でした。紀元前586年です。それより前に捕囚となったのが、エゼキエルとダニエルでした。
エゼキエルは捕囚の地バビロンで、同じく捕え移されたユダの民に向かって預言しています。バビロンという異教の地に於いても神は共に在すと語ります。そして、将来の希望を幻によって示されます。祭司であったエゼキエルは深い霊性から裁きと回復を語っています。ダニエルは少年の時、3人の友と共にバビロンに捕囚されています。彼は預言者というより、政治的な働きの場から語っています。

以上、イザヤ~ダニエルまでの時代背景を簡単に記しましたが、預言者として召されるとは、苦しみと死が伴いました。それを覚悟して、それでも、神の言葉を語り続けたのが預言者でした。