お前と女、お前の子孫と女の子孫の間に
わたしは敵意を置く。
彼はお前の頭を砕き
お前は彼のかかとを砕く。   (創世記3章15節)

 これは、神が蛇である悪魔サタンに告げられた言葉です。最初の人間であるアダムが悪魔の誘惑に屈し、神の戒めを破った時、裁きとして言われた言葉です。神がアダムに「善悪の知識の木からは、決して食べてはならない。食べると必ず死ぬ」と、命じられていたからです。これを、アダム契約と言います。契約という言葉はどこにもありませんが、条件付きの契約で、守れば永遠に生きる者(命の木から実を食べられる)となりました。しかし、アダムはそれを守らず、破ってしまいました。誘惑者に惑わされてしまったからです。アダムとエバは楽園から追放されます。この2人は、救いを必要とするすべての人の原型となります。

聖書は、その後に続く善と悪の戦いを記しています。それを示すのが冒頭の聖句です。破られたアダム契約に対する、神からの約束が記されています。こちらは神が主イエスによって、既に成し遂げて下さった恵みの契約ですから、私たちは、かかとを砕かれた主イエスを信じ、主と一つに結び合わされることだけです。

最初の人間を誘惑した蛇は単なる動物ではなく、その背後に悪魔がいます。神に敵対し、人間を常に誘惑する存在です。女とはエバ、或いは、天のエルサレム(ガラテヤ4章26節)、信じる者を指しています。その子孫である彼とは、イエス・キリストです。イエス・キリストは悪魔の頭を踏み砕き(死に至らせる)、悪魔はキリストのかかとを砕く(十字架の死)のです。この戦いは世の終わりまで続きますが、勝利は既に得られています。そのことを告知しているのが、旧新約聖書です。冒頭の聖句が、どのように実現されて行くかが、創世記4章から黙示録22章に記されています。聖書全体がこのことの成就であるのです。神は最初の人間アダムとの契約を、長い時間をかけて守り抜かれたことが分かります。善と悪との絶えざる戦いの最後は、黙示録16章に記された、ハルマゲドンの戦いです。

今、イスラエルで起きている戦争の背後に働くのは何であるのか。また、これからどうなるのか。先が読めません。そして、誰が善で誰が悪なのか、簡単には判別できません。神だけがご存知です。